現在市販されている水処理器の原理の代表的なところを紹介しておきましょう。この内のいくつかは「
体に調和する水」を作れるものではなく、水道水に懸念される危険性を除去する能力しかないことは忘れてはいけません。
現在一般に市販されている水処理器の原理
活性炭と中空糸膜(ポリエチレン製の多孔質極細絶維) を組み合わせた浄水器
わゆる浄水器の代表的なもので、値段も手頃であるためにもっとも多く普及しています。遊離塩素や不純物などは除去されますが、それ以上の性能を期待することはできません。したがって「健康に害のない水」を作るものと受け取ってください。
ちなみに、多くのメーカーはカートリッジの交換時期を半年程度としていますが、できれば2~3ヶ月に1 回ほどのペースで交換するほうが安心です。
逆浸透膜を利用した浄水器
遊離塩素や不純物は、みごとなまでによく除去されます。しかし同時に、大事なミネラル成分まで除去してしまいます。 最近ではこの欠点を補うために、浄水した後にミネラル成分を溶出添加する方式の製品も出回りはじめました。 このタイプの製品はアメリカからの輸入品が多いようですが、これはミネラル成分は食事から摂取できるのだから、ことさら水から摂取する必要はない」とするアメリカ統合理主義の反映でしょう。
セラミックフィルターを利用した清水器
セラミックは微弱な遠赤外線を放射します。電磁波の一種である遠赤外線は、水の分子に作用して分子結合を小さくし、水としての性質を整えます。しかし、このセラミックフィルダーだけでは遊離塩素を除去できませんので、活性炭フィルターと組み合わせた製品もあります。
トルマリン( 電気石)フィルターを利用した清水器
トルマリソも遠赤外線を放射します。したがってセラミックフィルターと同様に、水の分子結合を小さく準ぇます。もちろん、これだけでは遊離塩素を除去することはできません。
天然鉱石を利用した浄・活水器
自然の地層に学んで何層にも積み重ねた多種類の天然鉱石を通過させることで水を浄化し、同時にミネラル成分を溶出させて弱アルカリ性の水とし、最終段階で中空糸膜フィルターを通過させます。したがって、遊離塩素も除去できます。このタイプは価格的に手頃ですが、これに磁石を組み合わせて磁気処理の能力も合わせ持たせた、若干高価なタイプもあります。
電気分解方式を利用した整水器
内蔵の浄水器(活性炭のみか、活性炭と中空糸膜を組み合わせたもの) を通過させた水を、微弱な電流による電気分解槽内に導き、ここで電気分解( 正確には分解ではなく、電気エネルギーにより分別すると表現すべきでしょう)します。
電解槽内では、マイナス極の側に弱アルカリ性となるミネラルイオンを持つ水分子が集まり、プラス極の側には、弱酸性となるミネラルイオンを持つ水分子が集まります。これがいわゆるアルカリイオン水(学術用語ではなく通称です)を作るアルカリイオン整水器です。
弱アルカリ側の水では遊離塩素が完全に除去される代わりに、弱酸性側には微量ですが残る可能性がないではありません。しかし飲用に使用するのは弱アルカリ性側の水ですから、この点での問題はありません。また水分子の結合も小さく整えられます。
ちなみに一般に「電気分解式整水器」などとも呼ばれるこのタイプですが、実際には科学的な意味で電気分解するはどの電気エネルギーは流していませんので、本来なら「イオンバランス・シフクー( 分離器)」または「pHシフター」などと呼ぶべきだろうと思われます。このタイプで気になるのは、通常の使用状態ですと2年間ほどで電極が汚れて「電解能力」が低下してしまう点です。
このことをメーカーもあまり説明しないために、本当なら必要な分解掃除をしないまま、つまり本来の能力を発揮できなくなったまま使用されている例が少なくありません。当然のことながら、内蔵の浄水器のフィルターは、長くても半年で交換する必要があります。
電場処理型の整水器
ためおき式の水槽内に電気伝導度の高い木炭(備長炭がもっとも望ましい)を設置し、この水槽全体に数千ボルトの直流の静電圧( 電流を流すのではなく電圧をかける/ 数千ボルトとはいえ、大変に微弱なエネルギー量であるため、感電などの心配は一切ない) を、4時間ほどかけて水の分子結合を小さく整えます。
この際、備長炭(あるいは活性炭) の優れた吸着力により、遊離塩素や不純物は除去されます。水は静電圧をかけられるために電子を豊富にもった水分子の集合となり、このことが分子結合を小さくすると同時に、酸化した物質を還元する力となる、弱アルカリ性の性質を作ります。
これで作られた「水」は、電子水と呼ばれます。交流電場を利用したものもありますが、これで作られた「水″」は励起水と呼ばれます。水槽内の木炭は1 カ月おきくらいで水洗いし、陰干ししてから再使用します。
磁気処理( 磁気フィルター)
700ガウス程度の強さの永久磁石を蛇口などに取りつけることで、水の性質を整えるものです。これだけで遊離塩素などを除去することはできませんが、水の状態を整える能力はあります。
これは家庭用の飲み水のために使用するというよりも、ビルやマンショソの中の送水管から出がちな赤水対策(送水管内壁の鉄が酸化されて水に溶け、赤くする)に利用されることが多いようです。
以上、現在市販されている水処理器の原理をごく簡単に説明しました。この中のどれが家庭用としてもっとも適当であるかを考えなければいけません。 ここでは、酸化と還元について補足しておくことにしましょう。
ごく一般の常識として、水の中に鉄を沈めておくと、空中においておくよりもずっと早くサ ビます。サビるとは酸化することです。また物が腐ることも酸化をともなう変化であると覚え ておいてください。
もし水が塩水なら、さらに早くサビます。これは、その水の酸化する力が 強いためです。 しかし、何らかの処理によって電子を豊富に抱えこんだ水は、これによって還元力( 酸化し た物質に電子を与えて還元する。酸化とは物質の分子が電子を失うことです) を持ちますので、 こうした水に鉄を沈めておいてもなかなかサビません。
その典型的な例が電場処理型の整水器で作られる電子水で、この水に、たとえばカミソリの 刃などと浸しておくと、なかなかサビないばかりでなく切れ味も保持されます。 最近は手軽に浄水した水が飲める「
ピッチャータイプ」もあります。
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